「適当にやっといて」
「後は各自で自由にやって」
──仕事や学校でこんなふうに言われたことはありませんか?
こうした曖昧な指示を受けて、どうすればいいのか分からなくなるのは、ギフテッドの方にとても多い悩みです。
この記事では、ギフテッドが曖昧な指示に混乱する原因をわかりやすく解説し、今日から実践できる解決策を紹介します。
なぜギフテッドは曖昧な指示に混乱するのか?
ギフテッドが曖昧な指示で戸惑うのには、いくつかの理由があります。
・情報処理スタイルの影響(聴覚継次型)
ギフテッドには聴覚継次型という、言葉で順序立てて説明されると理解しやすいタイプがいます。
このタイプは、「曖昧な説明に納得できない」傾向が強く、はっきりした指示がないと動き出せません。
対照的に、イメージや雰囲気で捉える視覚優位タイプもいますが、聴覚継次型の人にとっては曖昧さが大きなストレスになります。
・整合性の一致を求める脳
ギフテッドの多くは、論理の整合性を非常に重視します。
曖昧な内容には「つじつまが合っていない」と感じ、脳が処理を止めてしまうことも。
「整合性がとれない=情報が使えない」と判断して、思考がフリーズするのです。
これは、ギフテッドの高い分析力ゆえの現象です。
・責任感と「全力を出したい」気持ち
ギフテッドは強い責任感を持っている人が多く、求められた役割はしっかり果たしたいと考えます。
「どうせやるなら全力でやりたい」
「完璧に仕上げたい」
そのため、あいまいなゴールや基準があると、「ちゃんとできたのか分からない」と不安になってしまいます。
いわゆる“しごでき”な自分でいたいのに、力を発揮できない。
そのジレンマがストレスとなり、動けなくなってしまうことがあります。
・内向型で質問しづらい
ギフテッドには内向型の人も多く、「分からないから聞きたい」と思っても、うまく言い出せないことがあります。
「聞いたら怒られそう」
「ちゃんと考えてないと思われたくない」
そんな思いがよぎり、結局はっきりしないまま抱え込んでしまう。
それが混乱の連鎖を生むのです。
・ギフテッド2E/スペシャルニーズがある場合
ギフテッド2Eとは、ギフテッドでありながら、発達障害などのスペシャルニーズを持っている人のことです。
たとえば自閉スペクトラム傾向があると、曖昧な表現や冗談をそのまま受け取ってしまい、「適当にやって」が全く理解できなかったりします。
ADHD傾向のある人は、手順や優先順位が不明確な状態に弱く、「何から手をつければいいか分からない」と注意が散ってしまうことも。
このように、2Eの人にとって曖昧な指示は二重のストレスになります。
曖昧な指示への5つの解決策
1. 不明点は遠慮せず確認する
「わからないことは、確認する」──これが最重要です。
たとえば、
「どこまでやればいいか?」
「いつまでに提出すればいいか?」
など、具体的に質問しましょう。
聞くのは決して悪いことではありません。
「ちゃんとやりたい」という真面目さの表れです。
2. 指示内容を自分なりに整理する
まずは、もらった指示を自分の言葉でメモにまとめてみましょう。
「AをBまでにやる」
「重視すべきはXとY」
…と整理した上で、「この解釈で合っていますか?」と確認するだけでも、かなり安心できます。
3. 信頼できる人に相談する
本人に聞きづらいなら、周囲の人に相談してみましょう。
「これ、どういう意味だと思う?」と聞くだけで、自分の視点が整理されることもあります。
他人の視点を借りることで、自分の考えを客観視できるようになります。
4. 完璧を目指さず、まず動いてみる
完璧に仕上げようと構えすぎると、手が止まってしまいます。
曖昧な指示には「ある程度は自分に任されている」と考え、とりあえず手をつけてみましょう。
動いてみることで、必要な確認点や修正点が見えてきます。
**「間違っていたら直せばいい」**と考えておけば、気が楽になります。
5. 自分の特性を周囲に伝えておく
できる範囲で、**「自分は明確な指示のほうが動きやすい」**ことを周囲に伝えてみましょう。
たとえば、
「ゴールと期限がはっきりしていると助かります」
「可能ならチャットや箇条書きで教えていただけるとありがたいです」
…など、前向きに要望を出してみると、相手も協力しやすくなります。
自分の特性を説明することは、より良い環境をつくる第一歩です。
おわりに
ギフテッドが曖昧な指示に混乱しやすいのは、思考特性・責任感・こだわり・感受性といったさまざまな要素が関係しています。
でも、原因が分かれば「どう対処すればいいか」も分かります。
そしてその対処法は、今すぐ実践できることばかりです。
「わからないままにせず、動いてみる」
「必要なら相談や確認をする」
「自分の理解しやすい形を伝える」
そうやって少しずつ、自分らしく働ける環境やスタイルを整えていきましょう。
あなたの誠実さと知性は、必ず誰かの信頼と感謝につながっています。